いいはなシーサーたち『ミッドナイトブルー』

春ってやっぱりちょっとおセンチな気持ちになりますよね。(関係ないけどおセンチってもう10代20代には通じないんじゃないかしら)
そういうときって少女漫画でもレディコミでもない、サブカルに振り切っているわけでもない、どこでもない間の女性向け漫画を読みたくなります。
でももういい歳なので、わかりやすいあのオシャレサブカル系の気怠い恋愛なのか人生なのかを読むのもしんどい。
特にここ数年ちょうどいいのが見つからないのは、自分が歳をとったからなのか、時代的に飽和しているのか…
でも見つけてしまいました!ちょうどいい塩梅の作品を。

須藤佑実/祥伝社
『ミッドナイトブルー』

見つけちゃいました。ちょっと本当に感動しています。
7つの短編からなる作品集。
一つ一つはさっぱりしていて、読むときのコンディション等によっては平たんなお話かもしれない。
でもどの作品も抜群なんですよ!エロもない、とりあえず煙草を吸うキャラもいない、病んでる女子も出てこない、一見普通の男女でこんないいお話たちが!ちょっとのサブカル風味をもってここに存在している!

まあ十把一絡げにしたオシャレサブカル系ですが、好きなんだか嫌いなんだかよくわからない状態でしか踏み込んでいないというか、好きで読むんだけどどっぷりハマったらそれは危険な気がして膝より上は浸からないようにしていたので、もしかしたら過去にもこういう作品は沢山あったのかもしれない。まあでもそれはそれでいいじゃないですか。とにかくこの作品が2017年の今刊行されたわけです(1月発売だったそうなので、今更なんですけれども)。

作品はどれも淡くさっぱりしているので、ここで触れると良さが消えてしまうと思うので、とにかく手に取って読んでいただきたい!
恋愛にハマらなくても、薬を飲みすぎたり自傷しなくても、トランスジェンダーや援助交際なんかが出てこなくても、物語はきちんと成立する。
当たり前のようで難しい、それがきちんと形になっている、そんな奇跡というには少し大げさかもしれないこの作品たちが今ここに発売されていることは、本当に素敵なことなんじゃないかな、と思うのです。


春におセンチになるのは桜が大きな要因な気がします。が、最近は2週間くらい咲いてますから、そのうち桜への感覚も変わってくるんじゃないかなと思う昨今。

やまなか(仮)
貯蓄もないのに漫画をジャケ買いしては一喜一憂しているどうしようもない人間。
狭く浅く生きています。