としがばれるよ『バババババディ!!』

世の中、もっといろんなものが免許制だったらいいのになあと思うことはないですか?
難しい試験をクリアすればその資格が得られる。仕事になる。きっちり対価を得られる。
資格マニアになるつもりは毛頭ないですけど、自分が何気なくやっていることがスペシャルスキルとして認められたら、もっとお給料増えるのかもなあ、なんて。
例えばそれが銃の組み立てでも。

TALI/新潮社
『バババババディ!!』

舞台は、殺人もライセンス化したパラレル日本。人間的に偏りのある高校教師が殺し屋目指して奮闘の日々。学年で一番サエないいじめられっ子がまさかの超凄腕殺し屋と知って…というお話。

いきなり話を逸らしますが、30~40代の人たちは、このタイトルで絶対思い出す番組があると思うんですよ。
彼女たちは今も可愛いし、あの番組名をスッとその場で思いつく松本人志は天才。ああ~。平成ももうすぐ終わるらしいですよ。

閑話休題。

この作品の面白いところは、まず主人公がクズとして描かれているところ。クズなんだけどなんかすごくバカっぽい(この説明が既にバカっぽいですけど本当にそうなんです)のがカラっとしてていい。実際こんな人いたら5000%躁病だと思いますけど、これが陰気なクズだとちょっと元気ないときには読めませんからね。
一挙手一投足がオーバーリアクションで、マンガだからこその表現がもりもり。そんでもってテンポもいいので、超明るいバカすぎるロックとか聞きながら読んだら最高かもしれません。歌詞とか全然わからないと尚良いでしょう。

あと、1話ごとの進み具合が最適。一つ謎が残されて、次で解かれたと思ったらまた新たな謎が出て、解決してちょっと休憩して、その裏で別の謎が出てきたり出てこなかったり。
若干テンポが速い気がしないでもないけど、主人公たちも併せてチャカチャカ動いてくれるのでストレスはありません。だからといってスカスカな空間重視な作品ではなく、むしろ逆で、見開きがなんか濃いです。
正直な話、ここ10年くらいのメジャー作品でもとてもよく見る“同人誌的なセルフツッコミが多いあれこれがある作品”がかなり苦手なんですが、この作品はそこのバランスもすごく絶妙な気がする。これ以上多いとあのかつての同人誌感にウッとなるし、でもこの作品でツッコミがなかったら面白くない。

というわけで、割と色んなベクトルにおいていい意味でのギリギリなキワできちんと成立している、素敵な作品です。
ここで無料でいくつか読めますので、とりあえず1話をご覧ください!
そんでまた、これが掲載されてるのがバンチっていうのがいいですよねえ。新潮社は最高。バンチもゼノンも好き!


今そこにいるアサシン。

やまなか(仮)
貯蓄もないのに漫画をジャケ買いしては一喜一憂しているどうしようもない人間。
狭く浅く生きています。