夏の恐怖映画まつり

夏といえば「ミイラ」と「サメ」。これは国連が定めた規定によって世界的に認められている概念だけど、古くから恐怖映画でたびたび取り上げられてきた題材でもある。
この夏もとびきりのミイラ映画、サメ映画が公開されているのでここはひとつ合わせてご紹介していきたい。
え?もうすぐ夏終わり?バカ野郎!これからだ!

「ザ・マミー/呪われた砂漠の王女」☆☆☆(星3つ)
近年のトレンドである「ユニバース」形式の映画群。アイアンマン、キャプテン・アメリカで言わずと知れた「マーベル・シネマティック・ユニバース」、ゴジラやキングコングが暴れ回るモンスターバース。そんな超強力な連中に対抗すべくユニバーサル・ピクチャーズが満を持してお送りするのがこの「ザ・マミー」を皮切りにした「ダークユニバース」だ。
クラシックなモンスター映画を現代に復活させるその面子はといえばマミー!透明人間!フランケンシュタイン!半魚人!……改めてラインナップを見てみると「おい!ユニバーサル!これ大丈夫なのか!」と心配になるし、今の若者たちが半魚人を観に映画館に行くかと言うと正直かなり厳しいんじゃないかという気がする。
とはいえトップバッターの今作はサマーシーズンにぴったりのミイラ映画、さらに主演は我らがトム・クルーズという良くも悪くも手堅い布陣で、実際中身もミイラ映画の基本をよく抑えた内容。巨大砂嵐が顔になって襲ってくる恒例のやつとか、人間を容赦なく食い尽くす甲虫とか、古き良きエジプト的演出は観ていて安心感がある。「こんなのほぼ「ハムナプトラ」じゃないか」という心無い批判もあるかもしれないけど、悪役を毎度おなじみのファラオおじさんから今を時めくソフィア・ブテラ演じる女王に置き換えたりして、あくまで現代的にアップデートされてるので、ホントこの調子でダークユニバースも成功するといいですね。
でもマジで半魚人は考え直したほうがいいと思いますよ…。

「海底47m」☆☆☆☆(星4つ)
もうひとつはこちら。近年異様な盛り上がりを見せるサメ映画業界といえば、頭が3つあるサメ、5つあるサメ、核のサメ、宇宙サメ、サメの幽霊…とその勢いはとどまることを知らない。というよりもはや収拾がつかない事態とも言える。そんな暴走状態のシャーク映画に真っ向から立ち向かったのが今作だ。
「手違いでわずかな酸素と頼りない檻とともに海底47mに閉じ込められる姉妹」というシチュエーションスリラー的内容もスリリングだけど、なにより今作の見どころはサメによる横綱相撲。「泳ぐ」と「噛む」という基本動作だけで姉妹を恐怖のどん底(海底)に叩き落とすその迫力は「サメ=怖い」という、シャーク映画の氾濫によって人類が忘れてしまった基礎中の基礎をしっかりと思い出させてくれる。
サメ映画界に警鐘を鳴らす気迫の一作。

長く天気がパッとしなかった8月にやっと暑さが戻ってきたことだし、サメとミイラで失われた夏を取り戻しましょう。


そぼふる雨の中、過ぎ行く夏にすがりつくようにボクらは肉を焼いた。

おだかやすゆき
昼は会社員/夜も会社員/座右の銘は「狼は生きろ、豚も生きろ」
つらい仕事の合間に楽しい映画を観て感想を書きます。
好きな映画は「人間はガンガン死ぬけど動物と子どもは絶対に助かる」映画。
https://twitter.com/odkysyk