いきなりですが、ゴシックにハマったことがあるかないかで人生って結構極端に分岐されると思うんです。
『とつくにの少女』
『外の国』で、『外の者』と呼ばれる異形の化物と暮らす人間の少女の物語。
少女はその化物を先生と呼び、二人(?)は仲良く暮らしているのですが、ある時『内の国』から人間がやってきて少女を見つけて、お話が一気に転がり始めます。
ゴシックがどう関係あるのかと言われると非常に困るのですが、調べてみたところ
今日のポピュラーカルチャーにおいてもゴシックという言葉は広く使われている。そこでゴシック的とみなされているものは、例えば闇、死、廃墟、神秘的、異端的、退廃的、色で言えば「黒」といったイメージである[2]。そのような現在流布している多様なゴシックの表象は、歴史上ゴシックがもともと意味していたものとは必ずしも合致しない。総じてゴシックという言葉は多義的で曖昧であると言える。- ゴシック とは
だそうです。
そう、この作品を占める大きなイメージこそ『黒』なんですね。
イメージというか、まず主人公が真っ黒です。ページの黒率の高さよ。そして死も退廃も異端も内包している。これはもうゴシックと言って差し支えないでしょう!(よかった!)
現在4巻が出たばかりなのですが、1巻から2巻、2巻から3巻、3巻から4巻、それぞれ進むごとに新しい事実や展開が見れて、退屈しません。
淡々と静謐な空気が漂う中、お話はじんわりと、おそらく良くない方向へ進んでおります。
とても上品なお菓子を食べている感覚です。めちゃくちゃ高いお砂糖を何かしただけの、シンプルだけど高級な、あの感じ。
登場人物も人間だったり化物だったりしてそれぞれ事情はあれど、みんな品があるんですよね。
最早マンガというより、外国の絵本を読んでいるような。
3巻から徐々に不穏な空気が大きくなり、4巻でかなりの展開を見せたこの作品。
化物といってもファンシーさも残っているので、ゴシックでも怖さはありません。
すっかり読書の秋めいてきたことですし、気になった方は是非。紅茶とケーキが合いますよ、きっと。
時々田舎に帰ると、夜の暗さにビックリしますね。東京は明るいからなあ。
貯蓄もないのに漫画をジャケ買いしては一喜一憂しているどうしようもない人間。
狭く浅く生きています。