『お芝居って、隠しておくものだと思ってた』

20歳になって、実感やギャップなどはありますか。

もっとお姉さんになるんだと思っていました!オシャレで、きちんとお化粧もしてて、髪も長くて、いい匂いがして…。いい匂いって、自然には出ないってことに気が付きました(笑)。あれって、いい匂いのものをつけないと出ないんですよね!お姉さんてなるべくしてなるんだなと。
一つ変わったのは、ヘアメイクをしていただくときに、自分なりのこだわりというか、好きな感じがわかってきたことですね。

環境に変化はありましたか。

役者の先輩方のお食事会に呼んで頂くことが多くなりました。その場の雰囲気もそうですけど、そこでしか聞けない先輩方のお話しもあるので、すごく嬉しいです。
今まで、お芝居って自分の中にコソコソ隠しておくものだと思っていたんですけど、最近になってほかの方に聞いてみたいと思うことが増えて。今だとまさに綾野剛さんにお芝居の相談をしたり、「こういう時はどうされてますか?」と聞いてみたり。
(女優活動の中で)今になって、初めて、自分から周りに相談できています。

『「成仏して!」と思っています(笑) 』

役作りの話はよくされていると思うので、その逆をお伺いします。役を終えるとき、どうされていますか。

作品が終わると、いつもブログを書くようにしています。
そこで、役に対して「バイバイ」と伝えます。
その役によって言葉は変わるんですけど。「またね」とか、「ありがとうございました」とか。

お別れする、という感覚ですか。

私は…成仏してほしい、って思ってるんですけど(笑)。クランクアップしたら即おしまい!というタイプではないので。
撮影が終わったあと、その役の口癖が出てきたりすることにへこんだ時期もありました。彼女の癖は、こんな簡単に出てくるようなことだったのか…?って。
でも、先輩に、「それはモノマネなんだよ」と言っていただいて。役と私自身は違うんだよって。
その言葉がスッと入ってきて、とても楽になりました。

『天才医師がいないドラマです』

ドラマ「コウノドリ」の下屋加江さんは、どういう役ですか。

原作の加江ちゃんは一人の女医さんという設定ですが、今回のドラマでは、研修医の設定になっています。
年齢が実年齢より少し上で。白衣が着られて嬉しい!
綾野剛さん演じる主人公・鴻鳥サクラをはじめとする産婦人科のメンバーと共に、日々奮闘しています。

まっすぐでひたむきで、でも少し優柔不断な役という印象を受けました。

そうですね。
加江ちゃんは一人の女性として純粋に「お母さんを助けたい」「子供も健康で生まれてほしい」「みんなが幸せになってほしい」と思うけど、色んな状況や判断によって、悩んだり、迷ったり…。そうして一人前になっていくのかなと。
このドラマは天才医師がいないんです。神がかり的な凄腕ではないし、超人のような才能があるわけではない、普通のお医者さんたち。そのぶん、とてもリアリティがあって、身近に感じてもらえる気がします。
実際にお話を伺った本物のお医者様たちも「かっこよくしないでください」と仰ってくださいました。「最終的にお産をするのは私たちではなく、母子さんたちの力なので」と。

現場の雰囲気はいかがですか。

綾野剛さん、監督をはじめ、皆さんの結びつきがかなり強固です!綾野さんを中心に、赤ちゃんを最優先にみんなで一丸となっています。
毎回、出産は一つ一つが本当に奇跡だなと実感します。
また、出産までの細かい検査の話や、ワクチンの話もあります。
私と同じ世代の方々にも、是非見ていただきたいです。

『出産は覚悟がいるんだと再確認しました』

松岡さんは、出産する側の役も多く演じられていますよね。

たくさんあります!この間数えたら10人産んでいました。
お芝居で10代の出産をさせてもらったことは本当にいい経験になったんですけど、この「コウノドリ」にかかわらせてもらって思い返すと、医療面でも感情面でも、違うところがいっぱい出てきて…
なので、今は振り返れないです(笑)。自分で悔しくて。

今回、出産を助ける側を演じてみていかがですか。

ほぼ毎回収録で赤ちゃんに会えるので、それがとても嬉しいです。やっぱり赤ちゃんってとってもかわいいですね。
でも、今ままでは気軽に「将来は子供が欲しい」と話していたのですが、それは簡単に口にすることはできないことだと感じました。
出産はすべてが奇跡で、神聖なことで。覚悟が必要なことというのがよく分かりました。

『今の私がどこにいるのかを再確認したい』

改めて、これからの目標を教えてください。

そうですね…
小さい頃は自分が大人になった時になりたい大人像って沢山あったはずで。
その沢山の想像した未来の私の中で、今の私がどこにいるのかを再確認したい。
そこから次へ向かうための目標を作ることが今の目標です!

また違う大人へと変わっていく松岡さんが見られますね。

今回の「コウノドリ」の現場は、素敵な大人の方々が沢山いらっしゃるので、とても勉強になります。
ドラマが終わる12月までの間は、加江ちゃんと一緒に成長していきたいです。

シャツ、ワンピース/tiit、その他/スタイリスト私物

松岡茉優 プロフィール
1995年2月16日生まれ、東京都出身。
『おはスタ』(2008)のおはガールとして本格的デビュー。映画『桐島、部活やめるってよ』(2012)、NHK『あまちゃん』(2013)などで注目を集め、2015年にはフジテレビ『She』でドラマ初主演を務める。

TBS 金曜ドラマ「コウノドリ」
綾野剛演じる産婦人科医・鴻鳥サクラと、その同僚や患者など、“命が誕生する現場”に関わる人たちを丁寧に描く、あたたかいヒューマンドラマ。共演は、松岡茉優、吉田羊、星野源、大森南朋、ほか。
2015年10月16日放送開始(初回15分拡大)
http://www.tbs.co.jp/kounodori/
matsuoka150805_0142-101©「コウノドリ」/TBS

撮影:大村祐里子
ヘアメイク:田中宏昌
衣装:池田未来