『仕事としてこんなにありがたいことはないです』

今回主演のドラマ『傘をもたない蟻たちは』は、妄想の劇中劇も多いですが、いかがですか?

仕事としてこんなにありがたいことはないですね(笑)。
2話はほぼ妄想なので、楽しかったです。
妄想の世界なのでなんでもアリだし、人間の欲望もきちんと出ているし、こういう話じゃないとできないなと。
やりすぎて止められることがないから、思うがままに演じることができました。
背中に羽が生えた気分でした!

河野圭太監督とのタッグ再び、ですね。

そうですね。河野監督は、役者の気持ちに寄り添って演出してくださって、外せないところはきちんと提示してくださいます。
撮るペースが早い方でもあるので、監督のビートに自分のビートを合わせて集中しますね。自分が納得いかないまま次のシーンに移るのは悔しいので。
一度ご一緒してそのペースがわかっている分、お互いにいい空気感で進めていくことができたと思います。

『自分の内側と向き合って生み出す作業』

妄想世界と現実世界で、芝居が混乱することはありませんか?

今回はその役が両極端だったので、ごちゃごちゃになることはなかったです。
橋本は典型的なダメな男で、林は現代社会にいるような女好きな男という、役の切り替えのスイッチはきちんとありました。

主人公の橋本青年は冴えない男ですが、桐山さん自身の私生活は冴えてますか?

割と冴えてますね!(笑)
今朝も、朝の短い時間でスープをパパッと作ったんですよ!美味しかった~!
朝の短い時間で料理までできると、なんだか得した気分になります。
そういう時に使いやすいように、野菜も小分けで保存してたりするんですよ。

橋本役との共通点はありますか?

僕は作家ではないから“書けない苦しみ”はわからないけれど、自分の内側と向き合って生み出す作業という意味では、役者も同じですね。何もないところから、作り出していくこととか。
橋本は自分の経験不足から悩んでいることもありますが、役者もそういうことはあると思うんです。
経験のない中から絞り出すのは大変だけど、そういう思いをしているからこそ、橋本の苦悩や葛藤をわかってあげられる部分もあるんじゃないかな。

『人間じゃない役をやってみたい』

自分を形成する上で今一番大事なことは何ですか。

作品に入っているときと、お休みのときで違うんですよね。
撮影中は、一つの作品を背負う責任を考えています。特に今回は主演をやらせていただくので、主演であることを意識していました。
なので撮影中はあまり友達と会わなくなるんですよね。役のまま居る時間を多くしたいから…その分、お休みのときは、仲間といっぱい遊びます。
ありがたいことに、そういう性格をわかってくれるいい友達に恵まれています。
一人で過ごすのも好きです。ただ…一人ではお酒を飲めないですね。お酒は誰かと飲みたいな。
一人飲み、試してみたことがあるんですけど、無理でした(笑)。

今ハマっていることは?

「ウォーキングデッド」※海外ドラマ ですね。
単純なゾンビものではなく、人間ドラマがきちんと描かれているんです!
ゾンビが現れるかもしれないという恐怖がすぐ隣にあるから面白い。
登場人物によってゾンビの捉え方もそれぞれ違ったり、残された他人同士の駆け引きも、とても興味深いです。
寝る間を惜しんで見ちゃってます…(笑)。

今後挑戦してみたい役はありますか。

人間じゃない役をやってみたいなと思います。ゾンビとか、幽霊とか…。
現世にきちんと生として存在していないからこそ抱える寂しさや苦しみを、役で演じられたら面白いだろうな。
機会があれば是非演じてみたいです。

『今、とてもいいバランス』

30歳になってみていかがですか?

楽しいですね!
意識としては、仕事をしていく上での心構えや責任感が変わってきました。根っこの部分はずっと変わらないですけど。
今まで以上に、イチ社会人として仕事をするようになったというか…俯瞰で捉えることができるようになりました。それって余裕が出てきていることの表れかな?と思います。
また、その余裕の隣に“失敗が許されない”という程良い緊張感もあって、その二つが綺麗に織りをなしてるなと。
自分自身、今とてもいいバランスです。

写真を撮られるのは好きですか。

正直に言うと、好きでもないし、嫌いでもないですね…(笑)。どちらか選べと言われたら、絶対に映像の方が好きです!
でも、今回の写真集は全然緊張してない僕がいます。お茶目な写真もありますし、仕掛け満載の写真集になっています。
どうしても「桐山漣」ってクールに見られることが多いなって自覚があるんですけど、実際の中身はそればっかりじゃないんですよね。
本当は遊びごごろがいっぱいあるんだぞ、というアピールです。

2015年12月に写真集を発売されましたが、このタイミングで写真集を出した特別な思いはありますか。

2016年で芸能生活10年目なんです。
一つのものを創り上げるにあたって、10年間積み重ねてきたものを今の自分がさらけ出すからこそ深いものができる、という確信がありました。
見られることへの余裕も出てきて、桐山漣というイメージの幅を広げられるように作りました。
20代の頃はどうしても表面的なものに注目されがちだったので、そこだけで終わらせたくないなと考えていたんです。アイドル的に笑うのではなく、役者・桐山漣として笑いたい、と。
是非見ていただきたいです。

桐山漣 プロフィール
1985年2月2日生まれ 神奈川県出身。
最近の主な出演作にドラマ「ロストデイズ」(CX系)「磁石男2015」(NTV)「まんまこと」(NHK)、映画「呪怨-ザ・ファイナル-」「群青色の、とおり道」など。
待望のPHOTO BOOK「キリヤマ レン」が絶賛発売中。
今回の「傘をもたない蟻たちは」は、フジテレビ系ドラマ初主演作品となる。


土ドラ『傘をもたない蟻たちは』
2016年1月9日(土)~1月30日(土)深夜23時40分~24時5分 全4話
加藤シゲアキ(NEWS)原作の短編小説集「傘をもたない蟻たちは」(2015年6月・KADOKAWA)をドラマ化。世界感はそのままに、新解釈を加え再構築し、“生と性”をテーマにした極上のエンターテインメント作品。
土ドラ『傘をもたない蟻たちは』全4話に共通する物語の主人公は、原作「恋愛小説(仮)」の主人公でもある若手小説家の橋本純(はしもと・じゅん/30歳)。締め切り間際になっても、一向に筆が進まず部屋の中で悩み続ける純のもとに、幼なじみの村田啓介(むらた・けいすけ/30歳)が現れる。
出演は、桐山 漣、加藤シゲアキ、阪田マサノブ、足立梨花、渡辺 舞、武田玲奈、南沢奈央、竜 雷太 ほか。

撮影:大村祐里子
ヘアメイク:江夏智也(raftel)
スタイリング:吉田ナオキ