おおかわらさん 映画『珍遊記』脚本インタビュー
映画『珍遊記』の脚本を書かれることになったいきさつを教えてください。
共同脚本の松原秀さんが一昨年の鬼ヶ島の単独ライブの時に作家で入られていたんですけど、その松原さんが山口雄大監督をライブに誘ってくださったのがきっかけですね。
終演後、山口監督に『これ(コントのネタ)を書いたのは誰ですか?』と聞かれ、僕ですと。後日お食事に誘っていただき、そこで脚本を書いてみませんかと依頼していただきました。
山口監督がとても気に入ってくださったコントがあったんですが、それは実際はバッキバキに滑ったネタだったんですけど(笑)。他にもっとポップなコントはあったのですが、そんな中に敢えてそのシュールなコントを入れたところが、監督の琴線に触れたみたいです。
コントと映画、脚本を書くにあたって違いはありましたか?
内容に関しては、松原さんと山口監督と3人で何度も打ち合わせをしました。ブロックごとに分けて進めていったので、割とコントを書くのに近かったかもしれません。
一番大変だったのは、僕、普段全部手書きなんですよ。パソコンも一応持っていたので最初は頑張って打ってみたんですが、手書きに慣れすぎてて…。ただの癖なんでしょうけど、やっぱり手書きの方が色々アイデアが出てくるんですよね。なので、全部、何百枚も書いて、手が真っ黒になりました。
その手書き原稿を松原さんがパソコンでト書きなどを入れつつ、清書してくださいました。
期間はどのくらいかかったんですか。
集中して書いたのは、大体1週間ですね。
勿論そのあと何度も多方面からの修正があって、最終的には数か月かかりました。
今作は、原作に忠実な部分とオリジナルの設定とのバランスもお見事ですね。
ありがとうございます!
映像化して面白い部分と漫画だからこそ面白い部分を気にしながら書きました。酒場のシーンなんかはそのままで面白いので、あのまま忠実に映像化されてると思います。
『珍遊記』は、ストーリーそのものより番組やSNS等で使われたことでイラストとして先行しているところがあるので、原作のストーリーを知らない方も見やすくなるといいなと。
個人的には、倉科カナさんが冒頭でとんでもない台詞を言ってくださったのがとても嬉しかったです。
龍翔はどなたのアイデアで誕生したのですか?
ライバルとなる役を作ろうというのは、初めから山口監督と決めていました。書いていてとても魅力的なキャラクターでしたね。
途中、あまりに愛を注ぎすぎて、監督に指摘されちゃいました(笑)。
撮影中の印象的なエピソードを教えてください。
山田太郎って感情があまりないので少し不安があったんですが、現場で松山ケンイチさんが演じているのを見たら、そんな不安は吹っ飛びました!理屈が通用しない圧倒的な存在感に感動しました。
撮影前に、松山さんは役に没頭されるタイプと伺っていたので、共演者の芸人仲間と少し緊張してたんです。でもいざ始まったら実際はとても気さくで!合間もずっとおしゃべりしてましたし、楽しい方でした。
また、実は僕もちょこっと出演しています。出演シーンが韓国ロケになることがわかって、監督に『韓国行きたい?…出ちゃいなよ』って言ってもらえて速攻で入れ込みました (笑) 。皆様にご迷惑をかけないように、極力台詞のない役でただ立っています。
あと溝端淳平さんととても仲良くなりました!“若”って呼んでるんですよ。
映画をご覧になるみなさまに一言お願いします。
監督を始め、スタッフ、出演者、みんなの原作に対する愛がとても深い実写映画になっていると思います。
好きだからこそ忠実に再現したシーン、好きだからこそ実現していないシーンがあるので、その対比も楽しんでいただければ。
あと、あんな溝端淳平さん/倉科カナさんは他では見られません!
原作を読んでいない方も、映画を見た後で是非読んで頂きたいです。二度楽しめます。
おおかわら OOKAWARA
1977年5月31日生まれ。埼玉県出身。
プロダクション人力舎所属。
養成所であるスクールJCA7期を卒業後、別のコンビを経て、2007年から現在のメンバーで鬼ヶ島として活動開始。
コントの賞レース「キングオブコント」では2回の決勝進出を果たし、2013年には2位に輝く。
現在、MBSラジオ「ゴチャ・まぜっ天国!」(毎週木曜23:30~)にレギュラー出演中。
脚本としては今作が初めての作品となる。
『「樹海少年ZOO1」も大好きです。』
映画『珍遊記』http://chinyuuki.com
1990年より週刊少年ジャンプにて連載され、シリーズ累計販売部数約400万部を記録した、唯一無二の存在感を放つ孤高の漫画家・漫☆画太郎による伝説のギャグ漫画「珍遊記~太郎とゆかいな仲間たち~」が、まさかの実写映画化!
2016年、「秘密結社鷹の爪」シリーズのDLEが贈る、日本映画界の常識を覆す衝撃の超問題作が、遂に公開!
取材:大村祐里子
撮影・文:ヒカリグラフ