アキラ100%さん DVD『裸の王様』発売記念インタビュー
DVD発売おめでとうございます。DVD発売のお話を聞いた時の、最初の印象を教えてください。
若手芸人のDVDって、そのほとんどはネタを何本も集めて単独ライブをやるような状況のものを収録しているものが多いですが、自分は裸のネタしかないですし、DVD1本作るにはネタ数がないと思っていたんです。
でもスタッフの方とお話しして、色んな企画を考えていく中でこれなら大丈夫だと思いました。裸ネタにこだわった作品ができて、とても嬉しいです。
僕の場合は「フリがあってツッコミがある」「ボケがあってツッコミがある」というようなルールではないので、「くだらないな〜(笑)」というようなものをいっぱい詰め込めたらと考えました。今の僕だからこそ、より面白いのかもしれませんね。20代の僕よりも、40歳の今の僕だからこそくだらなさが増してて面白い。
R-1優勝の影響はどういうものでしたか。
ありがたいことに、全然違うことだらけです。それまではアルバイトしてましたし、R-1優勝によって色んなニュースで顔が出たことで顔も覚えてもらえるようになりました。それまでは、お盆だけを覚えてくださってたんじゃないでしょうか(笑)。顔がどんな人か覚えてもらえるようになったのは、優勝したことの大きな影響ですね。
あとは、子どもたちや幅広い世代からの支持をいただけたこと。今のネタ番組は深い時間帯が多いので、ファミリーで見るよりはお笑い好きな方がチャンネルを合わせるパターンが多いと思うのですが、優勝して色んな番組に出させてもらったことで、色んな方々の声援をいただくことが増えました。
お笑い芸人さんの中でも、男性のファンが多くいらっしゃる印象を受けます。
そうなんです!お笑い芸人は女性の方にキャーキャー言ってもらえるということが多いと思うんですが、僕の場合はそういうことは全くないんですよ(笑)。同世代の同性支持が圧倒的ですね。街中で声をかけてくださる方は、サラリーマンの方が多いです。あとは家族づれの方や、お子さんですね。
実は僕自身も不思議なんです。僕の芸っていわゆる宴会芸を綺麗に磨いたもので、それをコントにしたりショートネタにしているのですが、自分では大人が喜んでくださるかなと考えていたんです。それが子供世代にも受け入れてもらえたという…。多分、子どもたちはクレヨンしんちゃん的な感じで捉えてるのではないでしょうか。裸のおじさんがいて、時々お尻が見えて、みたいな(笑)。驚きもありますが、やっぱり嬉しいですね。
実は一番尖った芸のはずなのに、今一番幅広い世代に受け入れられているのではないでしょうか。
そうなんですよ!自分でも不思議です(笑)。ひそかに、今の状況は、“完全に自分の力ではない何か大きな力でTVに出させてもらってる・応援してもらっている”んだと思っています。これだけコンプライアンスなどが厳しい世の中で受け入れてもらっているのって、めちゃくちゃありがたい。
でも、そういう厳しい中だからこそっていうのもあるかもしれませんね。ダウンタウンの松本さんが言ってくださった「緊張と緩和の最たるもの」がその通りな表現ですが、フリがもう既に不道徳じゃないですか。皆さんが常識として着ている服がなく、見えちゃいけないものがある。だからこそ応援してあげようと思ってもらえるのかもしません。「こんな時代になんて危なっかしいやつだ、仕方ないやつだな」って(笑)。
海外でも裸で芸をする方はいらっしゃるんですが、ほとんどが踊りがベースなんですよ。音に合わせて振付をしたり、コメディチックな動きをすることが多い。自分はそっちではなく、やっぱりお笑いを見せたいので、裸でネタをする方向でやっています。
DVDは、ネタだけでなく、ドキュメンタリー企画やHowToコーナーも最高でした。
ドキュメンタリーは緊張しましたね!社員さんの前であんな風にやることってまずないので…。頭で出来ているものを直接見てもらうドキドキ感はすごかったです。「横殺し」がいっぱい出てしまうので、ライブでは出来ませんしね。今回のDVDならでは・映像ならではの挑戦がたくさんできました。
HowTo企画は、よくある“何もない空間で本人が淡々と実演”ではなく、受講生としてバイきんぐの西村さん、だーりんずの松本りんすさんにご協力いただきました。西村さんの天然さや、りんすさんの真面目さもあり、収録してるだけでめちゃくちゃ面白く、とても楽しい空間でした。それが伝わる内容になっていると思います。
裸の芸って、“裸でやってみて最後は見えちゃう”というのが宴会芸としてのセオリーだと思いますが、僕の場合はそれを突き詰めて絶対に見えないことを追求してるわけですね。それをみんなで極める。みんなでやっているときは純粋に楽しくて、部室に集まった男子みたいでした(笑)。
TVだと、どうしてもその芸人さんの好き嫌いに関わらずネタをご覧いただくことも多いと思いますが、DVDは手にとってもらう時点で既に(僕のネタを)アリとして認識していてくださるはずなので、そういう意味ではより攻めた内容になっています。
そもそもこの芸風になった経緯はどういうものだったんですか?
自分としては、チャップリンやドリフが好きで、そういうところから産まれたものだと思います。独自の世界観や鋭い目線で笑わせるのではなく、動きや磨いた芸、呼吸で勝負してる感じ。
元々は役者志望でした。高校で演劇部に入ってから芝居の楽しさに気づき、養成所や劇団に所属して舞台も出て20代を過ごしました。でも役者で食べていくってとても難しいことですよね。色々考えたら自分はそこに没頭できなくなって、昔から好きだったお笑いに転向しました。それから高校時代の同級生とコンビで今の事務所に所属して、何年か活動して解散して、ピン芸人になって。
最初はとにかくいいネタが中々できませんでした。運良くオーディションに呼ばれても全然受からず、コンビよりチャンスは減ってました。そんな中「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」の山-1グランプリに呼んでもらって、これ(裸芸)に全部かけようと決めました。
裸でやっている経緯など一切説明せずいきなり始まるので、それを面白いと思ってくれた番組スタッフさんや出演者の方々には本当に感謝しています。最初の頃はライブでやってもウケなかったですもん(笑)。
DVDが延期になった理由はなんですか?
それは…モザイクミスです!ただただそれだけです。
本当に一瞬のことなんですけど、HowTo企画で僕じゃない方のモザイクが一瞬かかってなかったと。何度も何度も確認したんですが、発売日など発表したあと、更に念のために行っていた最終の最終チェックで発覚したんです。
でも発売前の発見で良かったです。世界中で見られてもおかしくなかったので…。関係者全員で胸を撫で下ろしました。
これも一つのネタになったというか、「諸事情により発売延期です」と言うと、大体皆さんお察しが良くて笑ってもらえます(笑)。
最後に、これからの目標を教えてください。
お笑い芸人としては、沢山の番組に出て、ネタをやる以外にも色々挑戦してみたいです。
自分自身では、更にこの芸を突き詰めたいなと思っています。裸芸の人として、更に深く追求していきたい。このネタを始めた時から賛否両論でしたので、色んなことは覚悟しています。その上で、番組ならでは・映像ならではの出来ることを見つけていきたい。
また、言葉が要らない芸なので、日本だけではなく、海外でも挑戦してみたいですね。海外のオーディション番組や大会にも挑戦したい。海外用にフリップを作って、日本でのR-1ぐらんぷり優勝の肩書きを提げて海の向こうへ挑戦し、凱旋できたらいいですね。
アキラ100%『裸の王様』
裸一貫・お盆一枚でピン芸人の頂点に立った男“アキラ100%”初DVD!
“ピン芸人日本一の座をつかんだネタ「絶対見せない de SHOW」、数多くのフォロワーを生んだ「丸腰刑事」はもちろん、本作でしか観ることのできない撮り下ろし企画が満載!
お盆芸をマスターしたい方、必見の「How to アキラ100%講座」では、アキラ100%が自らお盆芸のテクニックやコツを包み隠さず教えます!受講生はバイきんぐ西村&だーりんず松本。
2017年7月26日発売/SSBX-2614/¥3,000+税/本編77分+特典映像3分
発売元:コンテンツリーグ 販売元:ソニー・ミュージックマーケティング
アキラ100% プロフィール
出身地:埼玉県秩父市、生年月日:1974年8月15日、血液型:A型
関西テレビ・フジテレビ系列にて放送された『R-1ぐらんぷり2017』で優勝。エントリー総数3792名の頂点に立った。
テレビ出演番組多数。
撮影:大村祐里子