みんなで叱ってもらいましょう『グランマの憂鬱』

小学校の頃から、全く予定もアテもないにも関わらず恐れていたこと、それは『公園デビュー』。
そもそも実家は田舎すぎてデビューするような公園すらなかったのですが、ドラマなんかの影響で、『どうやら大人になったら公園デビューというものがあるらしい!そしてそれは中々難易度が高いらしい!』と震えていたものです。
では公園デビューと、この漫画のような総統的存在がいるのと、果たしてどちらが大変なんだろうか。

高口里純/双葉社
『グランマの憂鬱』

閉鎖的な百目鬼村を仕切る大奥様と愉快な村民たちの元に、毎回どこかから誰かがやってきて…というお話。
大体はこの大奥様が最後にビシッと締めて終わる単純明快かつ爽やかな物語で進んでいきます。

主人公は大奥様なんですが、孫娘がくるくるとついて回ります。キテレツ大百科でいうところのコロ助。
その孫娘が大体の話を進めているんですけども、大奥様の持論として『しつけは親がやれ/祖父母は孫を甘やかす』という感じらしいのですが、この孫娘さん自身もそれなりに賢いので、いまのところ三文安っぽくはなっていない模様。
結局こういうのを見ると、しつけ云々よりも本人の資質が大事なのではないか。いや、そこに気づくということがしつけの結果の素養なのか。どうなんだ。ぶつぶつ。
という無限ループはさておき。

田舎と都会をわかりやすく比較してどうこう言う資格もないですが、都内でマンション暮らしなんかをしていると、ふいに“よそのお子さん”に会った時、どうしていいかわからなくなります。
これが田舎だと、とりあえずコンニチワ~と挨拶するし子供も返してくれるんですけど、都会だとせいぜい同じマンションのエレベーターで挨拶するくらい。それも心からの挨拶というわけじゃなくて、なんとなくマナー検定みたいな感じといいますか…
子育てにもTPOってあるんでしょうか。この大奥様だったらどうするかな。この都会でも変わらず日々を暮らしていくんだろうか。それとも彼女の立ち居振る舞いは田舎だから成り立っていることなのか。
私にはまだわかりません。まだまだペーペーのペーな若造だなあ。

隣に誰が住んでいるかイマイチわからなくても暮らせる都会。
5軒先の子供でもどこの学校で何の会社に就職して…を把握している田舎。
どちらが善悪ということではないですが、完全に好みが出ますね。やっぱり。

ひとまず自分もそれなりの年になって、親の小言くらいでしか大人の正論を補給しなくなってきたので(親の小言だって正論は何割かしかないくらいかもしれない)、こういう作品を読んで背筋を正す気持ちを味わうのは割と楽しい。
1巻で大奥様が都会に出てとある会合に参加するくだりがあるんですが、個人的にはこっち方面も見たいです。
みんなで大奥様に喝を入れてもらいましょう。是非。


田舎って名前がよくわからないものがめちゃくちゃあるんですよね。そこら中に。

やまなか(仮)
貯蓄もないのに漫画をジャケ買いしては一喜一憂しているどうしようもない人間。
狭く浅く生きています。