AJIGUL (アジグル) インタビュー

尺八とピアノのデュオという異色の組み合わせですが、結成のきっかけは?

辻本 もともと共通の知り合いを介して知り合ったのですが、その時に一緒に何かやろうという話になったんです。とはいうものの、私はその場の勢いだろうと思っていたんです。そ れが、その後すぐ砂川が実際に曲を書いて送ってくれて、それにとても感動したのもありす ぐに意気投合しました。
砂川 1年半くらい前でした。お互いその時はまだ音も聞いたことなかったのですが、彼女の魅力に惹かれて是非一緒にやりたいと思いました。最近は映像作品等でも、和楽器が楽曲中に使われることも増えているので、あまり違和感はなく、むしろ面白いだろうという具体的なイメージがありました。

オリジナル楽曲はどのように制作されているんでしょうか。

砂川 基本的には私がベースとなる部分の作曲をして、尺八のパートは決まったフレーズは私が書きますが、セクションによっては「ここは尺ハらしいフレーズでお願いします!」という風に、よっちゃん(辻本)に任せることも多いです。やはり尺八の持つ一番かっこいい表情は、プレイヤーである彼女が一番良く知っているので。その際抽象的なイメージやニュアンスを伝えたりはしますが、それをしっかり具現化してくれるので、それが私たちのオリジナル曲の一番大きな魅力になっていると思います。

お互いの演奏のいいところは、ズバリどこですか?

辻本 砂川は、私と似てるというか共感できる部分もあれば、全く違う個性を持っているの で、尊敬してますし、刺激を受けます。上手く言えないんですけど、彼女の強さやキャラの 濃さが演奏に出てるんです。曲というよりは、演奏の方に。彩乃らしいなって。上手く言葉 にできないんですけど…。
砂川 私は彼女と組むまで他の尺八奏者さんとご一緒する機会は無かったので、正直尺八プレイヤーとしてこの奏法が超上手!等は分からないのですが…。邦楽楽器のプレイヤーさんなのにリズム感が良いです!アジグルは割と現代的だったり凝ったリズムのアプローチが多いので、いつも感心しています。新曲を書いて譜面を渡すと、険しい顔をしながらもさらりと吹いてくれます笑。それから曲の雰囲気や、お芝居に即興で音を付ける際などもセンス抜群だと思います!

単独ライブ『春のあじごよみ』の見どころを教えてください。

辻本 まだ発展途上ではあるのですが、尺八とピアノで織りなしている世界観を見てもらい たいです!あと朗読と合わせるのが初めてなので、そこも私達自身とても楽しみです。
砂川 1年半活動してきて、自分たちのこうして行きたい…という方向が定まったと思っています。去年の3月にもCDリリースの単独ライブをやったのですが、その時よりも更にアジグルの世界観を愉しんで頂けると思います。
それから衣装!今回一からデザインして頂いた衣装をお披露目出来ると思いますので、そこも是非楽しみにして頂けたらと思います。

今回は朗読劇とのコラボということで、また新しい一面が見られそうですね。

辻本 今回は宮沢賢治の「オツベルと象」の朗読とのコラボなのですが、このお話 を読んで、砂川が作曲しました。
砂川 朗読をお願いしているのが、今回のキーマンである、我らが中野マサアキさん!劇団PU-PU-JUICEの俳優さんです。一昨年から劇団PU-PU-JUICEの作品の楽曲を担当させて頂いておりますが、初めての稽古を拝見した時、台詞回しのリズム感がとても良いと感じました。彼のお芝居は音を乗せいて心地よいし、一緒にその空間を作ることを楽しめる素晴らしい俳優さんです。日本は間合い(音が途切れる無の瞬間)を大事にする文化があると思うのですが、中野さんの台詞回しにはそれがとても良く感じられました。私たちも作曲、演奏をする中でそういった部分を大切にしているので、是非今回注目して頂きたいポイントのひとつです。
辻本 中野さんのキャラもすごく立ってますし、絶対面白いだろうなという予感があっ て。今回の「オツベルと象」にも合うだろうなって。また、私達はインストユニットなので 音だけですが、今回朗読で言葉が入ることによって、私たちの楽曲を、新しい視点から楽しんでもらえるのがとても楽しみですね。

 

AJIGUL アジグル
尺八 辻本好美、 ピアノ 砂川彩乃のふたりが 「日本の美に波紋を起こす。」
AJIGULは、音楽と共に日本の美を発信し、日本国内でその価値を再認識するきっかけをつくると共に、その輪を世界に広げるべく2014年夏に結成。
全国各地で演奏活動を行うと同時に、劇団 pupujuice主催第二十回公演「竜馬が生きる」、第二十一回公演「竜馬を殺す」、第二十二回公演「兵隊日記タドル」、第二十三回公演「兵隊日記ツムグ」で作曲から演奏までを担当。自らのオリジナル楽曲をはじめ、楽曲制作も精力的に行っている。2015年3月21日、初のミニアルバム「sakura」を発表。
『音楽性や人間性はシンクロしてくるなと思います。』

「春のあじごよみ」~朗読シリーズ第一巻~
2016年3月12日(土)絵本塾ホール(四谷)にて http://ehonjuku.com/hall
昼公演 Open 15:00 / Start 15:30/夜公演 Open 18:30 / Start 19:00
ゲスト:俳優 中野マサアキ(劇団外組・劇 団PUPUJUICE) 予約:asiangroovenation@gmail.com
今回で二回目となるAJIGUL (アジグル)単独ライブ。 前回の1st.CD「sakura」リリース記念ライブから、更に進化を遂げたAJIGULのライブに加え、「朗読シリーズ第1巻」と題して、宮沢賢治の名作とAJIGULの音楽がコラボレーション!
朗読には劇団PU-PU- JUICEの、俳優 中野マサアキ氏を迎えてお届けします。
AJIGUL結成から1年を経て出会って来た人、考えたこと、目指しているもの。全てを凝縮した 「春のあじごよみ」をお届けします。

撮影:大村祐里子