いちむじん インタビュー

現在のメンバーに至ったきっかけを教えてください。

山下 僕がもともと12年間ギターデュオをやっていて、ヴァイオリニストをまず探しました。そこでシラスくんに出会って、作曲もアドリブもいけるイケメンヴァイオリニスト…彼しかいない!と声をかけました。
白須 同じジャンルで活動しているいちむじんのことは元々知っていました。山下さんから、日本はもちろん世界でも活躍したいという熱い想いを聞き、僕の力が必要だと言ってもらった時は嬉しかったです。
山下 その後、白須くんから永田ジョージというピアニストを紹介してもらって、まずこの3人で会いました。それが1年くらい前になります。
永田 僕は器用なピアニストではないので、いちむじんさんに合うのであれば…と。音楽的な相性はお互いにとってとても大切ですからね。合うかどうか。合わせたいかどうか。
山下 鳥越さんはライブで出会ってこの人だ!と即スカウトしました。
鳥越 ナンパされました(笑)。僕はナンパされるがままに加入、という感じでしたね。
山下 で、パーカッショ二ストを探していた時に、渡辺くんを。
渡辺 僕もナンパされました。
山下 はい(笑)。みんなナンパ…ではなく、実際にお会いしてお声がけしました。
渡辺 今まで僕がやってきたのはインストの中でもかなりディープでマニアックなことだったので、いちむじんで沢山の方に聴いてもらえるチャンスをもらってすごく嬉しいです。

いちむじん加入にあたって、周囲の反響はいかがでしたか。

白須 元々和をテーマに意識した音楽をやっていて、いちむじんとは近い場所にいたので、ファンの方も割とすんなり受け入れてくださったかなと思います。
永田 僕はいちむじん加入と同時にキングレコードからメジャーデビューだったので、その発表がかなり反響がありましたね。サラリーマン辞めて40歳でメジャーデビューっていう生き方もあるんだ、みたいな。会社を辞めた頃は色々心配や応援が入り混じった声だったのが、一気にプラスの方向に動いた感じです。
鳥越 僕の周囲は職人畑の方が多いから、大きくどうという反響はなかったけど(笑)、みんないちむじん自体知っているから『加入するんだってね』ということは言われました。
渡辺 あー(笑)、なんとなくわかる気がします。
山下 僕の場合、逆に『あの鳥越さんがよく賛同して加入してくれたね』と周りから言われるんですよ。
鳥越 プロとして、一つの現場が増えた感じですね。ここだから張り切る!ということではなく、いちむじんの中で最大限やるべきことをやっていこうという感じ。
渡辺 僕は『いちむじんってギターデュオでしょ?なんでナベちゃん入るの?』と言われましたね(笑)。だから早くこの新しいいちむじんを知ってもらいたいです。

デュオの頃からやはり大きく変わりましたか。

山下 本当に贅沢ですね。ギター以外の楽器があるってこんなに素晴らしいんだと。バンド形態になって、毎日が楽しいです。また、僕はクラシックギターをやってきて具体的な譜面を見るということしかやってきませんでした。それが今回メロディ符とコード進行を見て演奏するということを初体験して、毎回新鮮です。
渡辺 僕は逆に和太鼓やスウェディッシュなどの民族音楽ベースでやってきたので、楽譜はなくて音を聞いて覚えるというスタイルでした。なのでメロディとコードだけの方がやりやすいですね。
永田 僕もそのタイプですね。ジャズの叩き上げなので、より自由に冒険したいなと思って演奏しています。

メンバーから新たに影響を受けたことを教えてください。

永田 僕らは全員違うところが凸凹で、それが小さく丸くなることなく噛み合ってより大きなものになってると思うんですよね。みんな面白いことをやって、そう来るならこっちはこうしてみよう、ということができるメンバーなんです。
白須 メンバー全員音を大切にする人たちなんですよね。みんなそれぞれ自分の音を持っていて、個性として尖ったところはあるけど、優しい音や綺麗な音が好き。その中で演奏するのは、とても心地がいいです。
渡辺 これまでのいちむじんの曲はどちらかといえばクラシック寄りのきっちりした曲が多いので、民族音楽畑にいた僕にはすごく新鮮です。自分の中に新しいアプローチを作れているので、とてもいい経験だなと思います。
鳥越 とはいえ、そこまでガチガチのクラシック音楽ではないので、その日によって違うことをやるのが醍醐味ですよね。あまり深く考えずニュートラルに受け取るようにしています。ハプニングもそれはそれで楽しんだり。
山下 みんなそれぞれの音のイメージや作曲、音作りのニュアンスが好きでお声がけしたので、毎回どういう遊びをしてくるのかは楽しいですね。楽譜に書いていない一瞬のことなんですが、とても勉強になります。

作曲はどういう風に行われているんですか?

山下 何かのテーマ曲の場合は、依頼をくださった方がどういう人かということ、企業であれば社長や創立者の方がどういう思いで会社を作ったかや企業のテーマをを重要視します。また、市町村へのイメージソングはその場所でどういうことを感じたかを音にのせますね。
鳥越 時間をかけて考えるより、ふと浮かんだものを鼻唄で録音しておいてそれを形にした方が上手くいきますね。僕はドライブ中によく浮かんできます。
白須 僕は歩いている時に思いつくなぁ。その場でアプリなんかで録音しますね。フンフン〜♪という感じで(笑)。
山下 僕たち、鼻唄で作ることが多いんですよ!
永田 僕は100曲以上あるんですが、思い浮かぶのが必ずサーフィン中なんですよ!陸に上がった時には消えてるんです…
山下 それ、作ってないってこと?(笑)
永田 海で使えるボイスレコーダーがあったらもっとあるのに!
白須 でもわかるなぁ。夢でめちゃくちゃいい曲作ったのに起きたら消えてしまうことってありますよ。
全員 あるある!

いちむじんさんの考える『和の音』とはなんでしょうか?

山下 それは僕が一番知りたいです!(笑)普段もそこまで意識していることってないんですよね…和の音階を意識してることもないですし。単純に、会う方や風景から受けるものがそういうメロディだった、っていうことなんです。かえって海外に行った時のほうが、日本人ならではの曲だと気付くことはあります。
鳥越 自分のその時々の役割がどうかでも違ってきますね。ベースラインなのかメロディなのか、とか。
白須 尺八などの和楽器を表現するにはどうすれば良いか、とか考えたりはしますけどね。ギターで琴っぽく弾いてみたり、日本人にしかできない音作りはやりたいなと思います。
永田 そういうところはあるね。テクニック的には音色やタッチを変えてみたり、小さい頃に覚えた童謡を意識することで内面から和を引き出したりします。

最後に、今回のツアーでの目標などあれば。

山下 一番は、このメンバーでいちむじんだということを知ってもらいたいですね。
渡辺 そうですね。いちむじん=ギターデュオというイメージが強いと思うので、今の新形態になったことのお披露目から、良さが伝わるといいなと思います。
永田 僕個人的には、今までのお客様に “いちむじんの永田ジョージ”としての音楽性をお披露目したいです。こういう音楽も素敵ですよ、と提案していきたい。
鳥越 僕は色々考えすぎることなく、純粋に楽しんでいきたいと思います。
白須 ツアーでメンバーと一緒に過ごす時間が増えるのも楽しみですね。その時間が長くなればなるほど、いい音楽ができる気がしています。

 


いちむじん
いちむじんは、土佐弁で一生懸命という意味。
ギターデュオとして2004年に結成2006年メジャーデビュー。 数々のCM、ドラマ、映画、アニメ作品などに参加。その中でも2010年NHK大河ドラマ「龍馬伝」エンディング曲を担当し飛躍的に活動の幅を広げる。
2011年より海外公演開始。今までメキシコ、アメリカ、ブラジル、台湾で高い評価を得る。近年では演歌歌手、市川由紀乃に楽曲を提供をし、演歌とのコラボレーションで新たな一面を魅せている。
2016年に新メンバーを発表。各分野のスペシャリストが参加し、オリジナル曲を中心にクラシック、スパニッシュ、ラテン、ジャズ、ファンク、演歌、民族音楽など、ジャンルという概念を捨ていちむじんという音楽をこれからも追求し続けていく。

いちむじんStillMotionツアー
3月17日 名古屋 Blue Note NAGOYA
3月18日 京都 NHK文化教室センター
3月19日 芦屋 leftalone
3月20日 大阪 ロイヤルホース
詳しくはいちむじんHP https://www.ichimujin.com/

撮影:大村祐里子