塩野瑛久さん&笠原哲平さん(TEAM-ODAC) 舞台『小さな結婚式』対談

舞台『小さな結婚式』の簡単な物語のあらすじと、塩野さんの役どころを教えてください。

笠原(以降:笠) 今回の『小さな結婚式』は、ブライダル会社のレックさんのご協力のもと、色々な実話を参考に作られたお話です。色んな事情があって結婚式を挙げられない方々をサプライズで周囲がお祝いする、ということがベースになっています。塩野くんはそこで結婚式を挙げることになる青年・秋川拓海役です。
塩野(以降:塩) 拓海は内気というか、優しすぎるところがあるんです。自分はまだやりたいことがハッキリ決まっていないけれど、周囲はどんどん努力して…それを見てもどかしい気持ちになるというか。中々言いたいことが言えなかったり、周りに振り回されたり…。中々疲れる役です(笑)。
拓海の相手役である、美山加恋さん演じる松木さくらはどんどん前向きに進んでいくんですね。その中で、さくらや彼女の家族との関係の中で拓海は板挟みになったり、悪者にされてしまったりもします。彼は何も悪いことはしていないんだけど、つい彼のせいにされたり、優しさからの行為で自分が傷ついたり。とことん優しいヤツなんです。ここまで優しいヤツはいないぞ!?というくらい。
この稽古に入ってから、色んな人に「柔らかくなったね」と言われるんです!前は尖ってたのかな…(笑)
正直、塩野くんに初めて会った時は「尖ってるなぁ」と思ったよ(笑)。

笠原さんが演出家としてみる役者としての塩野さんの魅力はなんですか?

稽古初めの頃に髪を切ってきたんですが、それだけで印象がかなり変わりました!そこに驚いたのがまず一つ。最近は雰囲気でお芝居をする役者も多いですが、塩野くんはお芝居をきちんと内面から作ろうとしてくれてるのをとても強く感じます。だからこそ、髪型一つでガラッと変われるのかもしれませんね。一つ一つ丁寧にやろうとしているのがわかります。驕りがない。あと、とても自然体だなと思います。嫌な顔せずその場にいるって、実は凄いことだなって。
嫌な顔する方なんていますか?(笑)
いや、嫌な顔というか…ちょっと手持ち無沙汰だったり、自分と芝居のプランが違うとその気持ちが顔に出ちゃう人もいるんだよ。それが悪いことってわけじゃないんだけどね。でも塩野くんはそれがなくて、どっしり構えてる。どこから来るの?その落ち着き!
そんなにですか(笑)。
うん。塩野くんは若さやパワーもあるのに、大人びていて地に足をつけてやっているのがすごい。尊敬します。

塩野さんは、今回新たなチャレンジはありますか?

塩 実は今回初の関西弁に挑戦するんです!これが中々どうして難しいんですが、大阪出身の方に教えてもらったりすることでもコミュニケーションを取れるので、ありがたいです。笠原さんは最初からカッチリ決めることはなく、ひとまずは役者の持ってきたものを見てくださる方なので、色々試せることが楽しいです。

劇団として10周年目で、節目の作品ですね。

このお話関係なく、10周年だからといって堅苦しいのは避けたいなと思っていました。結婚式って、第二の人生というか、新たな始まりのようなイメージがありませんか?そこがピッタリだなと思って。これまでやってきたことと、新たな試みを一つの題材の中に盛り込められたらいいですね。

改めて、今回の舞台の見どころを教えてください

実は最近、偶然なんですけど、テレビで結婚がテーマの番組を良く見るんです。ドキュメンタリーが多いんですけど、やっぱりサプライズなんかのリアルな感情って見てて感動します。それを舞台でも感じてもらえたらいいな。
拓海演じる塩野くんの嘘のない優しさ、繊細さを見てもらいたいです。塩野くんは毎回新鮮に演じてくれていてありがたい。やっぱり演技をする中で、同じことの繰り返しで毎回感動するって難しいと思うんですよね。
それが難しくないのが舞台のマジックですよ!舞台って日によって本当に感じ方が違って、千秋楽が一番盛り上がるか?というとそうでもないんですよね。それが大変でもあり、楽しさでもあります。
実は今回、観ていただく方には塩野くんの役が一番寄り添ってもらえる役じゃないかと。新しい塩野くんの一面をお見せできたら。
こういう役は初めてなので、演じていて楽しいです。自分の中の一面を投影してみたり、生の部分を醸し出せるようにしたい。観に来て頂いた方が爽やかな気持ちでお帰り頂けるように、一同頑張ります!

 
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舞台『小さな結婚式』
世の中には結婚式を挙げたくても、諦めた人・挙げることが出来なかった人、、、など多種多様。でも、誰でも心の中では、本当は一度は挙げたいと願う結婚式。
「小さくても、ささやかでも、素敵な結婚式を!」
優しい、春風と共に、突然としてそれはやってくる。さくら舞う、春風と共に。。。
2016年4月6日~10日、紀伊國屋ホールにて。


左:塩野瑛久 しおのあきひさ
1995年1月3日、東京都生まれ。
2011年「第24回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で審査員特別賞・AOKI賞をW受賞し、翌年CXドラマ「GTO」で俳優デビュー。
ドラマ「獣電戦隊キョウリュウジャー」(EX)や「あすなろ三三七拍子」(CX)で人気を博し、数々のドラマや映画に出演。昨年、主演映画「きっといつの日か」、「鼻目玉幸太郎の恋!」が公開、「純平、考え直せ」では舞台初主演を果たす。
2016年には、ドラマ「Halo-Halo HOUSE ホセのニッポン・ダイアリー」で海外デビューするほか、「戦国BASARA4 皇」、「小さな結婚式~いつか、いい風は吹く~」、7月に公演される斬劇「戦国BASARA4 皇 本能寺の変」と主演舞台が続く注目の若手俳優。また今夏には映画「未来のカケラ」が公開予定。
オフィシャルブログ http://ameblo.jp/akihisa-shiono/
『最近は、友達との会話でも関西弁が出るようになってきました。』

右:笠原哲平(TEAM-ODAC) Teppei Kasahara
1978年生 神奈川県出身 作家・演出家。
06年、いとう大樹と共に、劇団TEAM-ODACを旗揚げ。笑って泣ける作品を大胆な演出とアイディアを駆使し、パワフルな俳優の演技と融合させて表現している。
役者の個性を引き出す演出手法と、普段では言えないような言葉をストレートに伝えることで、人間が必死に泥臭く生きる姿を描いた戯曲は見るものの心に強く訴えかけるものがある。
近年では音楽プロデューサー櫟原誠とタッグを組み、数々のコラボレーション作品を手がけている。
代表作
≪Goose house≫コラボ作品『真っ白な図面とタイムマシン』
≪フラワーカンパニーズ≫コラボ作品『僕らの深夜高速』
≪タマ&フレンズ≫コラボ作品『MOON&DAY~うちのタマ知りませんか?~』
≪清水翔太「HOME」≫コラボ作品『HOME~魔女とブリキの勇者たち~』
劇団TEAM-ODAC公式サイト http://teamodac.net
『結婚式は、幸せを伝えたい人は誰なのかが大事なのかなと思っています。』

撮影:大村祐里子