アイアム野田さん×窪田将治監督 舞台『戦士たちの憂鬱』対談

舞台のあらすじと役どころを教えてください。

窪田 よし、野田くんいってみよう!噛まないでね(笑)。
野田 はい!えーっと。独立事業法人の地球防衛軍という地球を守る団体があって、僕はそこの司令官なんです。地球防衛軍は国から補助をもらって賄われているんです。でも維持費や経費でお金がかかる!でも部下たちのやる気やモチベーションは上げ続けなければいけない!地球外生命体への対策も考えなきゃいけない!…というお話です。
窪田 …それって面白いの!?(笑)
野田 いや、面白いでしょ!ところどころ鬼ヶ島(注:野田さんの所属するお笑いトリオ)のコントに似てるなと思うところもあって、単純に稽古してて楽しいです。

野田さんの初舞台で、さらに主役ですね。

野田 そうなんですよ!この舞台のお話いただいて「面白そうなのでやります!」って即答して、台本もらっても特に何も気づかずにいて、後日知人にこのチラシを渡したら「野田くん主役じゃん」って言われてビックリしたんですよ!そこで初めて主役ってわかったんです。
窪田 でも、脚本読んだら明らかに司令官が主役ってわかるでしょ!(笑)
野田 いやいや~!まさか自分が主役なんて思ってもみないですもん。その発想がないですから。

そんな野田さんを窪田監督が今回主演に起用した理由は?

窪田 今回は特にですが、キャスティングの際、ありえないものをあてはめる作業をしました。「ここにこれはないだろう」という組み合わせ。戦隊ものって色と対になる役柄のイメージがありますが、そこをわざと外したりして。
野田 僕が司令官ってまず考えないですよね!一番上の立場になることがないんで。どう考えてもブルーとか…
窪田 ブルー!?(笑)
野田 あっ、ブルーじゃないですね!(笑)えーっと…この中だとロボだな!
窪田 まあそれが普通だけど、それって普通で面白くないじゃない?折角だから野田くんには来ないような役を当てはめたかったんだよね。

舞台とコントの違いはなんですか?

野田 時間の長さです!コントは長くても20〜30分とか。それ以上だとお客さんのテンションがもたないので。
窪田 そうなんだ!なるほどね。でも落語とかは長い作品あるよね。
野田 落語や漫才は長い作品もありますね。コントだとその作品での設定がもたないですよ。ワンシチュエーションだから、結局同じこと繰り返すことになるし。人数も少ないですしね。

『監督に演出される』というのはどういう感覚ですか?

野田 めちゃくちゃ嬉しいです!普段は自分たちで考えてコントを作るんですけど、やっぱり自分たちだから同列の意見なんですよね。そこがなんと、今回は僕は芝居一年生として演出をつけてもらってますから、贅沢な感じ。的確でわかりやすいですし、窪田さんに絶大な信頼があります!最初はセリフ噛みすぎてダメだしすらなかったですけど(笑)。

稽古の様子や雰囲気はどうですか。

窪田 今(注:取材日は8月中旬)は半分ほど進んでいて、まだまだこれからですね。野田くんのセリフがかなり多いので、まず完璧に覚えないとね。
野田 そうなんですよ!とあるシーンのセリフがとっても長くて、ラスボスと呼んでます(笑)。専門用語が多いし10行以上あるんです。今回本当にキチンとやりたいです!こういうこともできるんだぞっていうところを見せたい!

改めて意気込みや見所などを教えてください。

窪田 とにかく、この作品は野田くんにかかっているんです。初主演・初舞台・初座長でオタオタする野田くんが見れる、ある意味いい機会かも。また、今回はダンスもあって、そこも見所の一つですね。周りのキャストがみんなダンスが達者な中、野田くんも頑張っていますよ。お芝居もダンスも全部ひっくるめて、いち俳優部として野田くんを世に出せたらいいなと思っています。
野田 この作品はカオスで、ブラックジョークが沢山あります。爆笑したりビックリしたり、リアクションは色々あると思いますが、とにかく衝撃を受けることは間違いないです。この作品をきちんとやりきったら、僕の中で自信につながります!こんな長台詞を噛まずに言えたら凄いですよ!
窪田 そうだね。これで野田くんの才能が覚醒したらどうする?
野田 うわー!この作品がきっかけになってお芝居のお仕事たくさん来たらいいなあ!そうなったら監督にいっぱいご馳走しますね!

 

CINEASTE ON STAGE Vol.1 第1回クラスタープロデュース公演×劇団チャンピオン旗揚げ公演「戦士たちの憂鬱」 http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=75992
独立行政法人『地球安全安心生活防衛軍』通称『地球防衛軍』は防衛省からの出資、補助金を得て運営している外郭団体。
地球外生命体から地球の平和を守るため、日々活動している防衛戦隊ブロックダーのメンバーは戦争の出来ないこの国で地球外生命体の命を奪っていいのか疑問を感じ始めていた。
そんなブロックダー達に司令官から地球外生命体を退治するように命じられる。任務を遂行しようとするメンバーと疑問が大きくなるメンバー間で輪が乱れて行く。
防衛戦隊ブロックダーは地球を守れるのか?そもそも地球に危害を加えるとされる地球外生命体は存在するのか?正義とは?政治とは?民主主義とは?法律とは?そして、真の地球の平和とは?
現代の情勢を鋭く絡めたブラックコメディー!?
2016年9月7日(水)~11日(日)新宿シアターモリエールにて
作・演出:窪田将治
出演:アイアム野田(鬼ヶ島) 松田佳央理 さいとうりな / 中野マサアキ 渡部みずき / 中村公隆 小園司 山下徹大 幸 田村依里奈 / 矢部太郎(カラテカ)


右:アイアム野田(鬼ヶ島)
1977年生まれ、愛知県出身。2007年、おおかわらと和田貴志と共に、お笑いトリオ・鬼ヶ島を結成。鬼ヶ島では、キングオブコントにて2011年、2013年に、決勝進出を果たし、2013年大会では、準優勝という結果を残した。また、相方のおおかわらが脚本を手掛けた、映画『珍遊記』に出演するなど、お笑い以外でも幅広く活躍している。
『僕、本当にプレッシャーに弱いので、おだててくださいね!』

左:窪田将治
1974年宮崎県生まれ。 1997年日本映画学校卒。在学中には脚本家・池端俊策氏、映画監督・細野辰興氏に師事。
卒業後、自主映画制作の傍らミュージックビデオの演出やファッションショーなどの映像演出を手掛け、06年に『zoku』で劇場映画デビュー。09年には女子プロレスを題材にした映画『スリーカウント』で長編映画デビューを果たす。「失恋殺人」(主演:宮地真緒)「クレイジズム」(主演:馬場良馬)「僕の中のオトコの娘」(主演:川野直輝)で3年連続モントリオール世界映画祭に正式出品され海外でも高い評価を得た。その他、「野良犬はダンスを踊る」(主演:近藤芳正)「D坂の殺人事件」(主演:祥子)等、精力的に作品を世に送り出している。
『僕にとっては今の野田くんはいち俳優です。』

撮影・文:ヒカリグラフ