三四郎 DVD『一九八三~進化~』発売記念インタビュー

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小宮さんが前歯を治して、各所の反響はいかがですか。

小宮 歯がある方がいいね!という方もいれば、まだ見慣れないという意見もあります。まあ僕が一番違和感なんですけどね。前歯があるっていう違和感がすごい。普通は逆なんですけど(笑)。
相田 僕も正直、歯がある小宮の姿を忘れてましたね。これが本来の小宮なんですけど、前歯を見て「ああ〜これこれ!」っていう感じでした(笑)。そういえば、マツコ・デラックスさんに「小宮は前歯があったら好きなタイプよ」って言われてたよね。
小宮 そうなんだよ!早くお会いしたいな。
相田 あとは、上手に笑えるようになったよね。今までは歯欠けを気にしてぎこちなかったけど、今は自然な笑顔。表情筋が発達してきた気がします。

芸人で生きていこうと覚悟を決めたのはいつですか?

小宮 やっぱりマセキ芸能社(所属事務所)に入ってからですね。なので…25歳くらい。芸人を目指したきっかけは高校の文化祭でしたけど、それからその25歳くらいまでは「これからどうなるんだろう?」という不安がずっとありました。
相田 僕も同じですね。養成所時代は「どれくらい通用するのか?」という挑戦の期間というか。その後フリーで3人組の時もありました。結構滑って、先が見えなくて、また2人に戻って、そこでマセキに所属できて…そこで腹括った感じです。
小宮 3人の時も、今思えば楽しかったです。あの頃があったから、今があります。
相田 あの頃のネタは全く売れる気がしなかったけどね(笑)。

メディアに出るようになって、ネタの方向性は変わりましたか?

小宮 ライブが少なくなって、TVを見てくださるお客さんが増えたことで、ちょっとそういう方向に寄せることはありますが、その分ライブでは攻めたことをやりたいなと思っています。でも芸人仲間から「『“売れて丸くなった”と思われたくないから攻めてる』と思われる」のもヤだし…。
相田 え?なに?(笑)
小宮 どっちに転んでも嫌なんだよ。結局、世の中に正義なんてないんですよ!『絶対なんてない。』…そんな着想に陥っています。
相田 小宮って結構その時の環境でネタを作ったりするから、昔のちょっと過激なネタとかは卑屈になってたあの頃だからできたっていうのはありますね。今作ったとしてもちょっと嘘っぽい感じになっちゃう。
小宮 そうなんだよね。今の恵まれた環境で過激なネタをやっても、お客さんに入っていかないと思うんです。まあそこもネタにしちゃえ!って思いますけどね。

『終わりでーす』はどう産まれたんですか?

小宮 「リア充」というネタがあるんですが、その最後に『ありがとうございました!』で終わるのが不条理だなって思ってたんですよ。『散々言ってありがとうって結局いい子じゃん!』みたいな。挨拶しないで帰るとか色んなパターンを考えた結果、『終わりでーす!』になりましたね。
相田 いつも2人で「“ちゃんとした”オチも違うよね」って言ってるんです。あんなにおかしなことを散々やってるのに、最後だけしゅっとした綺麗なオチにしてもなんか違うというか。

DVDの収録のネタも、かっちり作り込んだ感じよりはすごくアドリブっぽさがありました。

小宮 ライブ感があっていいかなと。これでも結構編集したんですけどね(笑)。
相田 この中で一番ライブ感があるのは、「代官山」というネタです。僕らはよく「裏では結構練習してる」と弄られるんですけど、そうでもないよね。もちろん練習は普通にしますけど、そんなに弄られるほどかなあ?よっぽど練習してないと思われてるのかな?
小宮 そうなのかもね。僕は正直、練習している芸人さんのが絶対かっこいいと思うんですよ。漫才ってネタがきちんとあって練習して、それを見てもらうのが仕事だし。でもアドリブっぽく見えたところを2回目見て残念がられるってことは結構あります…。
相田 あるね(笑)意外と練習したクダリだったのかよっていう。でも本当にアドリブで出たものを、面白かったから次から取り入れることもあります。

密着ドキュメントを撮り終えた今、お互いの感想を教えてください。

相田 普通の生活してたら絶対に見られない歯の治療の様子やインプラントの仕組みを見ることができて、とっても得した気分になりました。歯医者さんもやったことがないことに挑戦する瞬間を、一番の特等席で映像に収めるという。
小宮 僕は、相田が1人で舞台に立つ映像を見て、新鮮な感覚でした。ハラハラドキドキ(笑)。『三四郎』として出てるので、お客さんはどう思うんだろう?みたいな。
相田 あれはね…怖かったよ…。
小宮 せっかくだからこれを機に、どんどんキサラとか舞台で芸を磨いてほしいです。
相田 新作(の物まねネタ)ができたらまた出るか。

進化というタイトルはどこから生まれたんですか?

小宮 沢山ありますけど、ひとつは、TVで僕らのことを知ってくださった方にはあんまりネタのイメージがないかもしれないけど、歯を入れて、賞レースで結果を残していきたくて…、そういう意味での『進化』。
相田 収録されているネタの方向性が1枚目のDVDとはちょっと違います。あの画期的だったピー音もない。
小宮 メディアに出て、これから三四郎として芸能界で生き残っていく過程の進化でもありますね。ライブシーンからTV、ラジオ、そこからどうなるのか。

ラジオをやっている強みはありますか。

小宮 エピソードが増えます!あとは何気なくした会話から新たな発見がある。僕たちは中学からの幼馴染だけど、意外と知らないお互いの幼少期のことで新事実があって、そこをまた掘り下げたり。
相田 地方営業に行くとラジオを聞いてくれてる方がとても多くて嬉しいですね。あと、声でタクシーの運転手さんに気づいてもらったりして、自分たちが思う以上に色んな層の方々に知ってもらえるんだと実感します。
小宮 そうそう!声で気づかれる。顔は知らないけど声は聞いたことがあるっていう、ファン層の広がり方もあるんだなって。

最終的にどう売れるのが理想ですか。

小宮 めちゃくちゃ売れて人気とかが下がるよりは、ずっと出続けたいです。ドカンと売れたい訳じゃないっていうと意外と欲がないと思われるかもしれませんが、欲がないんじゃなく、『出続ける』っていう方向に欲が強い。
相田 じわじわいきたいですね。『モヤさま』みたいなのんびりした番組やってみたい。目的があるようなないような、進めながら発見がある感じの、ゆる〜い雰囲気の。
小宮 そうだね。たとえ派手じゃない番組ばっかりでも、細々と。そのぶんコアな方にも知ってもらって、サブカル系な方々に…。ロフトプラスワンに出たりとか。
相田 いいねえ~(笑)
小宮 細く長くでいいので、芸能界で生き残りたいですね。

 


三四郎
小宮 浩信(左)と相田 周二(右)によるお笑いコンビ。2005年結成。マセキ芸能社所属。
共に1983年生まれ、東京都出身。成城学園中学時代の同級生として出会う。スクールJCA 13期生。THE MANZAI 2013・2014にて認定漫才師50組に選出。
現在のレギュラーはニッポン放送「三四郎のオールナイトニッポン0(ZERO)」(金曜27:00~29:00)、TBS「万年B組ヒムケン先生」(小宮のみ・月曜24:58~25:28)。

©三四郎/コンテンツリーグ
三四郎 『一九八三~進化~』 10月26日発売
3年前に失った小宮の前歯、それを転機に漫才そしてバラエティと大活躍の三四郎。そんな彼らの2年ぶりとなる最新DVD『一九八三~進化~』、今作には1本のコント、7本の漫才のみならず、あっと!驚くこの夏の重大事件「三四郎ドキュメント90日間」が収録されています。
2年前のDVD『一九八三』からの進化が見える渾身の作品!
収録内容:ED、滑舌、手紙、真似、誰に憧れて、次会、代官山、阿波踊り、三四郎 ドキュメント 密着90日間
ANSB-55226 \ 3,000+税
発売:コンテンツリーグ

撮影:大村祐里子