福山桜子監督 映画『サイドライン』インタビュー

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映画『サイドライン』、いきなり冒頭から1カットで魅せられました。
最初の1カット長回しには、2つの意図があります。
一つは、「超特急」のメンバーが今回お芝居が初めてのメンバーが多い中、しっかりと準備をして挑んだ、ということを見せるため。ああいう(長回しの)シーンは、カット割りができない分、ごまかすことができないので、全員がきちんと台詞が入っていて・きちんとキャラクターとして動けないと成立しないんですね。
もう一つは、彼らの仲の良さを出したかった。メンバーみんなが本当に仲がいいんです。役割がわかっている感じ。彼らにしかわからない、独特の空気感があるんですね。今回は幼馴染という設定もあったので、誰がどう動くかを、アイコンタクトすらなくても当たり前にできるリアルさを出すために、1カットで見せました。

オリジナル脚本ということで、やはり超特急のパーソナリティなどは意識されましたか?

©2015「サイドライン」製作委員会

今回は、ワークショップで彼らのキャラクターやポテンシャルを見て、そこからプロットを作っていきました。
グループ内の担当キャラクターと本人の素に近いキャラクター、さらに自分でまだ気が付いていない魅力を上手に全部出せたらいいなと思って(脚本を)書きました。
絶対に、普通のアイドル映画にしない!ということと、演技が初めてだと思わせないようにしようとみんなで頑張りました。

超特急のメンバーの印象を教えてください。
コーイチさんは、言葉に対してすごく敏感な子ですね。おそらく、普段からボーカルとして『言葉を表現する』ということを、とても真剣に考えているんだろうなと思います。
カイさんは、好奇心がとても強く、生まれたての子犬のような子。色んなルールを把握するのも一番早かったですし、スタッフさんたちにもグイグイ話しかけていって…。現場もすごい楽しんでました。役がクールだったので、一番ギャップがあったかな。
リョウガさんは、対応力が抜群でしたね!彼だけ、(役として)ストーリーをそこまで深く背負っていないんですが、それはストーリーを背負わなくても成立するから。これはとてもいい発見でした。
タクヤさんは、とても器用ですね。メンバーの中では経験値が高いこともあって、色んな事を把握する力がとても高く、カンがよかったです。次の作品でどう出るのか?が楽しみな俳優さん子です。
ユーキさんは、集中力がずば抜けていました。真琴つばささんと1対1の重要なシーンがあるんですが、お芝居がほぼ初めての中で、あんなに振り切ってやることは中々難しいと思います。
ユースケさんは、とても正直な子。できないことはできないと正直に言う。わからないことをわかったフリをしない。自分でできなかったと思ったら、できたと思うまできちんと向き合っていました。
タカシさんは、とにかく“一生懸命”!真面目です。自分が器用じゃないと自覚しているというのもあって、いつでも真剣でした。他のメンバーが色々手助けしているのを素直に聞いていましたね。
みんなプロ意識が高く、オンとオフの境界がしっかりしていて、切り替えが早かったです。

チアリーディングを題材にする、というのはどなたのアイデアですか?

企画・プロデューサーのアイデアです。
彼らは元々歌とダンスをやっているので、それを普通にやってもなぁ…という思いがあったので。真剣に取り組んでもらうために、何かに新しく挑戦してもらいたかった。
私が元々チアリーディングが題材の映画が好きだったり、ブロードウェイで見たチアリーディングの舞台が派手で印象的だったのもあって、これだ、ということになりました。

舞台演出もされていますが、映画と舞台の一番の差はなんでしょうか?
やはり、テーマと内容ですね。
映画じゃないとできないこと/舞台じゃないとできないこと、がそれぞれにあると思っています。
青春のキラキラしているところや、変化していく姿、時間軸を追っていくことを的確に表現するには、映画が向いていると思います。
何よりも、本人たちのその時その時の輝きは、映画が一番合っていますね。

印象的な撮影のエピソードはありますか。

©2015「サイドライン」製作委員会

今回は1カットでやるシーンが多かったのですが、スタッフさんに『舞台じゃないぞ』と言われちゃったりするところもありました(笑)。撮り終わったあとは、みなさんに面白かったと言っていただけたんですが。
具体的には、町内会の皆さまと山に探検に行っていたメンバーが、夜の境内で全員揃うシーン。
『ほとんどの監督が、このシーンは絶対にカットを割るし、長回しはしないだろう』と言われました。私は、ここは割らない方が説得力があるなと思ったので、なんとかアイデアをいただけるようにお願いしました。
結果的にはとても映画らしいシーンになったので、よかったなと思います。
あとは、歌広場淳さんのシーン!意外すぎるところに出てらっしゃるので、見逃さないでくださいね。見逃さないと思いますけれども!(笑)

 

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福山桜子 SAKURAKO FUKUYAMA
東京生まれ。NEW YORK/東京在住。
舞台、映画、PV、CMなどの監督、演出、脚本などで活動。
アクティング・コーチとしては、ハリウッド・スターの雇うコーチ同様、日本では希有な「主演クラスの俳優/女優」をコーチングするプロ向けの高い技術を持つ。
『ここ2年ほどは、日本でやりたいことが増えて、日本にいることが多いです。』

©2015「サイドライン」製作委員会
映画『サイドライン』http://sideline-movie.com/
全国にて上映中!
主演:超特急(コーイチ、カイ、リョウガ、タクヤ、ユーキ、ユースケ、タカシ)
脚本・監督:福山桜子
史上初のメインダンサー&バックボーカルを組む男性7人組ユニット<超特急>が、映画で新たな魅力を爆発させる!
自らの壁にぶち当たり、「ダメな自分を克服したい」と悩みながらも、一人の少女の願いを叶えるべく奮闘する男の子たちの青春感動ストーリー。
「小説 サイドライン」(著:福山桜子/11月6日(金)発売(小学館文庫))も併せてご覧ください。
(C)2015「サイドライン」製作委員会