門馬直人監督 映画『サブイボマスク』インタビュー

主人公がファンキー加藤さんという、またとないキャスティングですね!

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実は、初めにあった台本と企画書で加藤さんにオファーをして、一度断られているんです。
とても真面目な方なので、自分でいいのかと悩まれたんですね。
そのあと制作陣で色々他のキャスティングを考えたんですけど、やっぱり加藤さんじゃないと無理でした(笑)。脚本を直している間も、どんどん主人公=加藤さんになっていくんです。やっぱり彼しかいないと。
最初からアテ書きではなかったのに、自然と加藤さんに寄っていきました。

撮影の前後で、ファンキー加藤さんへのイメージは変わりましたか?

ある程度僕の中で『きっと加藤さんはこういう方だろう』というのがあって、あまり大きなギャップはなかったです。設定上では、春雄は加藤さんを150%増しにした、ということになっているんです(笑)。
でも、真面目さや明るさ、意志の強さなどはファンキー加藤さん自身の方がずっと強いものをお持ちだなと感じました。落ち込んだりウジウジすることがあっても、芯の熱さは変わらない方ですね。

お芝居に初挑戦なことを忘れるほどの熱演でした。

撮影前にリハーサルをした時、最初はかなり緊張されていました。
でも元々パフォーマンスをされているし、素質はお持ちでしたね。普段から歌詞を覚えるという作業をされているので、台詞覚えも早かったです。回を重ねるごとにどんどんステップアップされていって、伸び率がとてもすごかった。
クライマックスとか、初めてであそこまで演じきれるのは本当にすごいですよね。
権助役の小池徹平さんとの息もぴったりでした。加藤さんと小池さんはリハーサルのタイミングがなく、現場で撮影の前日に少し(芝居を)合わせてみましょうとなったんですけど、そこでもすぐに入り込んでいました。二人が役として呼吸をしだして、サブイボ立ちました。

美しいロケーションと商店街の対比が見事でした。

実際の商店街はお店が沢山営業しているんですが、今回この作品で登場するにあたって、皆さんにとてもご協力をいただいています。
『では撮ります!』となったらその時だけシャッターを閉めてもらっていました。
中々できないですよね。実際その間も売り上げ等は関係するわけですし…。
皆様のご協力には、スタッフ一同本当に心から感謝しています。

地方ロケならではのいいところ、また苦労したことは?

やはり地方にずっといるとその現場に集中できますね。
加藤さんもスケジュール上東京に戻れるチャンスがあったんですが、『戻ったら春雄が抜けてしまう』とそのまま現場に残られて、撮影がなくても現場に来られたりしていました。
大変なのは、やはりキャストさんのスケジュールですね。カットがかかって速攻で着替えて空港に移動!という状況もありました。
平愛梨さんのとあるシーンは時間がギリギリで、『NGとか何度も出てしまったら…』と不安になったのですが、さすが平さん、1回で素晴らしいものが撮れました。あれもサブイボ立ちましたね!

他に、今回の撮影中にサブイボが立ったエピソードありますか?

中盤で春雄・権助・雪の3人が話しながら歩いて帰るというシーンがあるのですが、実は撮影2日目だったんです。
あれを見て、『これはいけるな』と確かな実感がありました。世界ができたなと思いました。
この空気の町にこの商店街があって、この3人が生きているんだなと。
この町の空気を3人が教えてくれたような感覚でした。

改めて、この作品の見どころを教えてください。

みんなを元気にするためには、自分がまず一歩動く。それが春雄という人間で、その一歩がみんなをちょっとずつ動かし、変わっていく。人興しをして町が動いていく。
時々嫌なことがあったり行き詰ったりしても、この映画を、春雄を思い出してもらえたらいいなと思います。

 
(C)サブイボマスク製作委員会
映画『サブイボマスク』 http://www.sabuibomask.com/
今やシャッター街と化した田舎町の商店街で生まれ育った熱血バカの春雄(ファンキー加藤)は、大好きな商店街の本来の魅力である、店主の活気や賑わいを呼び戻すため、ただ1人町の復活を信じて立ちあがる。ある日、覆面レスラーだった父の形見をかぶり、ミカン箱の上でマメカラ片手に、熱い魂を込めた自作の応援歌をひたすら歌う、 “1人ライブ”を始めるのだが―。
主演:ファンキー加藤
出演:小池徹平、平 愛梨、温水洋一、斉木しげる、いとうあさこ、小林龍二(DISH//)、武藤敬司(特別出演)、大和田伸也 / 泉谷しげる
監督:門馬直人 脚本:一雫ライオン 制作:DLE/andpictures
2016年6月11日(土)全国ロードショー


門馬 直人 NAOTO MONMA
株式会社リクルートの広告ディレクターを経て、2012年に初監督した短編映画『ミネストローネ』がSHORT SHORT FILM FESTIVAL & ASIA 2013 JAPAN部門に正式ノミネート、監督2作品目の『ハヌル -SKY-』は、SHORT SHORT FILM FESTIVAL & ASIA 2013ミュージックShort 部門UULAアワー ドを受賞。2013年には、初の長編映画作品『ホテルコパン』を監督し、続けて2014年にも長編映画を監督している (公開待機作品)。2016年にも『イイネ!イイネ!イイネ!』(主演:クレイジーケンバンド/2016年秋公開予定)を監督し、台湾との合作作品を撮影予定。
『武藤さんのプロレスのシーン、よく見るあんな人やこんな人が出ています!』

撮影:大村祐里子